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最低賃金引き上げに中小企業はどう対応する?2025年度改定と業務改善助成金の活用法

全国加重平均1,121円となった2025年度の最低賃金引き上げを受け、中小企業が今やるべき対応を整理。最低賃金の正しいチェック方法、年収の壁への影響、業務改善助成金とクラウド活用での生産性向上まで、ITに強い社労士が解説します。

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はじめに

地域別最低賃金は、例年10月前後に都道府県ごとに改定・発効され、年々上昇が続いています。2025年度(令和7年度)の改定では、全国加重平均が1,121円となり、前年度(1,055円)から66円の引き上げと、目安制度が始まって以来の過去最大の上げ幅になりました。これにより、全国すべての都道府県で時給1,000円を超える水準となりました。

人件費が上がるのは中小企業にとって重い負担ですが、「気づかないうちに最低賃金を下回っていた」となると、是正勧告や未払い賃金の問題に発展しかねません。一方で、賃上げを前提に設備投資やデジタル化を後押しする助成金もあり、使い方次第では「負担」を「生産性向上のきっかけ」に変えることもできます。

本記事では、2025年度の最低賃金引き上げが中小企業に与える影響と、今やるべき対応を、ITに強い社労士エンジニアの視点で整理します。

2025年度(令和7年度)最低賃金改定のポイント

まず、今回の改定の要点を押さえておきましょう。

  • 全国加重平均は1,121円(前年度1,055円から66円の引き上げ=過去最大)
  • 令和7年度改定後は、全国すべての都道府県で時給1,000円超となった
  • 改定額は、2025年10月1日から2026年3月31日までの間に都道府県ごとに順次発効しました

注意したいのは、最低賃金には地域差があり、発効日も都道府県によって異なる点です。自社の事業場がある都道府県の最低賃金額と発効日を、厚生労働省の地域別最低賃金一覧で必ず確認してください。複数の都道府県に事業場がある場合は、それぞれの地域の最低賃金が適用されます。

最低賃金が上がると中小企業に何が起きるか

最低賃金の引き上げは、時給で働くパート・アルバイトの賃金が上がるだけにとどまりません。

  1. 人件費の総額が増える — 時給者だけでなく、賃金体系全体の見直しが必要になることもある
  2. 賃金の「圧縮」が起きる — 最低賃金が上がると、新人と中堅の時給差が縮まり、社内の不公平感につながる
  3. 扶養内パートの働き控え — 時給が上がると同じ年収でも労働時間が短くなり、「年収の壁」の影響で人手不足が深刻化する
  4. 最低賃金割れのリスク — 月給制の社員でも、時給換算すると最低賃金を下回るケースがある

特に4つ目は見落とされがちです。月給制でも、時給に換算して最低賃金と比較する必要があります

なお、3つ目の「年収の壁」については、社会保険の適用拡大も絡んで状況が変わりつつあります。詳しくは 社会保険の適用拡大・106万円の壁撤廃 で解説しています。

まずやるべき|自社が最低賃金を下回っていないかチェック

最低賃金は「実際に支払う賃金」が下回っていないかを、時給に換算して比較します。ここで重要なのが、最低賃金の比較に算入しない賃金があるという点です。

最低賃金との比較では、次の賃金は除外して計算します(最低賃金法の定めによる)。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金
  • 精皆勤手当・通勤手当・家族手当

つまり、月給からこれらの手当を除いた「基本的な賃金」を、月の所定労働時間で割って時給換算し、地域別最低賃金と比べます。「通勤手当や家族手当を含めれば最低賃金を超えている」は誤りなので注意してください。月給制の社員ほど見落としやすいポイントです。

たとえば、月給18万円・1か月平均所定労働時間が170時間の場合、単純な時給換算額は約1,059円です。ここからさらに通勤手当や家族手当などを除外して計算するため、手当の構成や地域によっては、最低賃金を下回る可能性があります。

判断に迷う場合や、自社の賃金体系が複雑な場合は、社労士に確認するのが確実です。

上がった人件費をどう吸収するか|値上げと生産性向上

最低賃金の引き上げ分を吸収する方法は、大きく分けて2つです。

  1. 販売価格への転嫁(値上げ) — 適正な価格転嫁は、政府も推進している方向性です
  2. 生産性の向上 — 同じ人数・時間でより多くの成果を出せるようにする

このうち、中小企業が中長期で取り組むべきは生産性の向上です。そして、生産性向上のための設備投資やデジタル化を国が補助する制度が、次に紹介する業務改善助成金です。

業務改善助成金を活用する|賃上げ+設備投資で最大600万円

業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上に資する設備投資を行った中小企業に、その費用の一部を助成する制度です。「どうせ賃上げするなら、設備投資とセットで助成を受ける」という発想が使えます。

2026年度(令和8年度)の業務改善助成金は、前年度から制度内容が見直され、受付開始は令和8年9月1日予定とされています(金額・要件は公募回や年度で変わるため、申請前に必ず最新の公募要領・交付要綱を確認してください)。

  • 受付開始令和8年度の受付開始予定日は令和8年9月1日です。ただし、年度や募集回によって受付期間・要件が変わります
  • 賃金引き上げコース:事業場内最低賃金を50円・70円・90円引き上げる3コースに再編
  • 助成上限額:一般の事業者で最大450万円、特例事業者で最大600万円(引き上げ額・人数による)
  • 助成率:事業場内最低賃金が1,050円未満なら 4/5、1,050円以上なら 3/4
  • 対象経費:生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等

ポイントは、対象経費が「設備投資等」と幅広く、機械設備だけでなく、業務効率化のためのITツールやシステム導入も対象になり得ることです。つまり、賃上げを機に勤怠管理システムや給与計算のクラウド化を進め、その費用に助成を充てるという活用ができます。ただし、単なる既存業務の置き換えや汎用的な機器購入が常に対象になるわけではなく、生産性向上・労働能率の増進に資する内容として説明できるかが重要です。

業務改善助成金は人気が高く、申請から交付までに時間がかかります。設備投資は交付決定後に行う必要がある点(先に発注すると対象外になりやすい)など、手続きの順序に注意が必要です。検討段階で早めに専門家に相談するのが安全です。

ITに強い社労士の視点|労務DXで「賃上げに耐えられる体質」をつくる

最低賃金は今後も上昇が続く見込みです。毎年の引き上げに振り回されないためには、人手に頼っていた労務作業を仕組みで効率化し、賃上げに耐えられる体質をつくることが本質的な対策になります。

  • 勤怠のクラウド化 — 打刻・集計を自動化し、最低賃金割れや残業計算のミスを防ぐ(どの労務ツールを選ぶべきか
  • 給与計算の自動化 — 最低賃金改定のたびに発生する単価変更を、クラウドで漏れなく反映する(勤怠・給与計算のクラウド化
  • データの一元化 — 勤怠 → 給与 → 社会保険をつなぎ、二重入力と転記ミスをなくす

当事務所は、ITエンジニアとして業務システム開発に携わってきた社労士が運営しているため、「賃上げ対応」と「労務DX」をセットで設計できます。業務改善助成金を使ったクラウド導入と、改定後の給与計算の実務までを一気通貫で支援できるのが強みです。

「最低賃金が上がるたびにバタバタする」「自社が最低賃金を下回っていないか不安」――そんな段階でこそ、お役に立てます。

よくある質問

Q1. 月給制の社員も最低賃金の対象ですか?

はい。月給制でも、時給に換算して地域別最低賃金と比較します。その際、賞与・割増賃金・通勤手当・家族手当などは除外して計算する必要があります。

Q2. 最低賃金を下回っていた場合、どうなりますか?

最低賃金との差額を支払う必要があります。また、最低賃金法違反として行政指導や是正の対象となり、悪質な場合には罰則の問題にもなり得ます。過去にさかのぼっての支払いが必要になることもあるため、早めの点検が重要です。

Q3. 業務改善助成金は必ずもらえますか?

いいえ。予算の範囲内での交付であり、要件を満たし、交付決定を受けた上で正しく手続きを進める必要があります。設備投資は交付決定後に行うなど順序の制約もあるため、早めの相談をおすすめします。

Q4. パートの「年収の壁」対策も相談できますか?

はい。最低賃金引き上げと社会保険の適用拡大は密接に関わります。シフト設計や社会保険加入の考え方を含めてご相談いただけます。

Q5. 地方の会社でも対応できますか?

オンライン対応のため、全国からご相談いただけます。地域別最低賃金は都道府県ごとに異なるため、自社の所在地に合わせて確認・対応します。

まとめ

  • 2025年度の最低賃金は全国加重平均1,121円(過去最大の66円引き上げ)、全都道府県で1,000円超
  • 月給制の社員も含め、時給換算で最低賃金を下回っていないかを点検する。賞与・割増・通勤手当などは比較から除外する。
  • 上がった人件費は価格転嫁と生産性向上で吸収する。要件を満たせば、賃上げ+設備投資に**業務改善助成金(最大600万円)**を活用できる可能性がある。
  • ITに強い社労士なら、助成金を使ったクラウド導入+改定後の給与実務まで一気通貫で支援できる。

「月給制社員が最低賃金を下回っていないか確認したい」「業務改善助成金を使って勤怠・給与計算をクラウド化したい」――そんな段階でこそ、お役に立てます。初回相談は30分無料です。お気軽に お問い合わせ ください。料金は サービス・料金ページ にまとめています。

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